夜中に岩宿遺跡に行ってしまった
家から近くの麺屋で麺を食った。
美味かった。
ちなみにこの麺屋からチェックインできる駅は運動公園である。
暇だったので食後に歩いて大間々のパチ屋に行った。
ちょっと勝った。
今日は良い日だ。気分がいい。
帰り道、「いつもと違う道で帰ろう」となった。
いつも真っ直ぐ行く道を、今日は曲がってみよう。
この好奇心が全ての元凶だった。
初めて見る遊歩道。
最初は「家の近くにもこんなとこあるんだ」程度だった。
しばらく歩いていると、見ず知らずのローソン。
周りの建物も見たことがないのばかり。
雲行きが怪しくなってきた。
「でもまだそこまで大きく道を外れてる訳じゃないだろうから、まだまだ行こう」
どんどん歩く。ひたすら歩く。
ガチで見たことない初見さんのセブンイレブンの登場に、さすがに帰宅可能性を疑う。
駅メモラーとして、真夜中散歩の中でもずっと駅メモをしている。
最初は「あー、ここはこの駅がチェックインできるのか」というテンションで画面を見ていたが、一向に自宅の最寄り駅にチェックインできない。
知らない内に岩宿にチェックインできるところまで来てしまった。
もちろん周りは見たことない景色。
なんとか自分の方向感覚を頼りに自宅の方に足を運んでみる。
もちろん駅メモをしながら。
しかしいつまで経ってもチェックインできるのは岩宿。全然家にたどり着く気配がない。
気づけばまた初見さんのセブンイレブン。
そのセブンイレブンに面する交差点の信号機にはこう書いてある。
「岩宿遺跡入口」
俺はとんでもない所に来てしまったかもしれん…
その時初めてそう感じた。
しかしまだ帰れるだろうと楽観的な自分もいる。
少し自分の話をするが、私は群馬県出身ではない。
群馬県民はだいたい遠足で赤城山や岩宿遺跡に一度は行くと職場の人に聞いた。
群馬に来てもう1年経つ。
まだ岩宿遺跡に行ったことがない。
あと私はまさか車社会の群馬で働くことになるとは思ってなかったので、車はおろか、免許すら持ってない。
この機を逃したら一生岩宿遺跡に行かないのでは…
誰しもが日本史の授業で聞く遺跡。
それに行ったことがないというのは群馬県民として如何なものか。
興味本位で岩宿遺跡の方へ向かうことにした。
街灯がほとんど無い中、「どこが遺跡なんだろう」と辺りを見渡しながら歩く。
しばらく行くと広めの駐車場が見えた。
よく見ると「岩宿遺跡 駐車場」とある。
「ここか!」
やっとたどり着いて、ほんの少し達成感を覚える。
案内票があったので見てみると、「岩宿ドーム」なるものがあるらしいので、まずはそれを見た。
今度は「縄文人居宅再現」みたいな看板があったので、そこを目指してさらに遺跡の奥へ歩く。
車通りもほとんど無い。
それらしき所に来たが、暗くて何があるか分からなかった。
「さすがに帰ろう」
そう決めて、来た道を戻る。
途中、鳥居があった。
知らない所で神社があったらとりあえず「無事に帰れますように」とお参りをするようにしている。
今回も例に漏れず、全く灯りは無いが神社はあるので参拝を試みた。
また少し自分の話をする。
私はホラーが苦手である。
しかし先日、つい「群馬最強の心霊スポット」という記事を読んでしまった。
なんせその記事に「わたらせ渓谷鐵道」とあったら読まない訳にはいかない。
わたらせ渓谷鐵道に神戸(ごうど)という駅があり、その近くに草木ダムというダムがある。
その近くにある神社(今は立ち入り禁止)が最強の心霊スポットだという記事である。
読んでみると「建物の中にある太鼓が勝手に鳴る」などとかなり怖いことが書いてある。
https://traveroom.jp/hokatajinja
動画も乗ってる記事なので、こういうのが好きな方は自己責任で読んでみてはいかがでしょうか。
とにかく「神社」というところにやけに敏感になってるところではあったので、相応の覚悟を決めて参拝に臨む。
まず鳥居を潜る前に一礼。
そこから進むとさらに鳥居が。
…ギブアップです。
なんせ、その鳥居から山の中にずっと道が続いていたので。
ホラーが苦手な人間が暗い中こんな道を歩ける訳がない。
しかも神社に関する怖い記事を読んだ後。
耐えられなかった。
逃げるように潜った2つの鳥居にお辞儀をしてその場を去る。
来た道を戻ると、また「岩宿遺跡入口」とある交差点に戻ってきた。
方向感覚的には多分この道を真っ直ぐ行けば帰れるだろう。
そう信じて、また見ず知らずの道を歩くことに。
途中、踏切の音がする。
上電か東武か両毛線か分からないが、とりあえず線路が見えればあとは駅メモラーは強い。
しばらく歩くと、家畜の臭いがする。
「勝った」
帰れることが確信へと変わった。
岩宿駅から自宅に向かう途中、家畜の臭いがする場所がある。
間違いなくそこだろう。
さらに歩いていくともう見知った景色。
線路を探さずとも、無事に帰宅することができた。
ずーっと駅メモをしながら夜中歩いていた訳ですが、拠点駅にチェックインできた途端嬉しさと安心感でちょっと泣きそうでした。
歩きすぎである。
終わり